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シン・仮面ライダーの公式アプリ「SHOCKER」とはなんだったのか 〜映画のファンコミュニティ形成におけるアプリの可能性〜

2023.06.02

 

近年、さまざまなアーティストや映像作品のファン形成の手段として、CRAYONが提供するアプリをご利用いただいています。今回、当社初の取り組みとして、映画のファンコミュニティ形成を目的としてアプリをご利用いただき、シン・仮面ライダー公式アプリ「SHOCKER」の構築・運用支援を行いました。

東映のプロデューサーの小出大さん、宣伝プロデューサーの湯口隆明さん、当社代表取締役であり、事業責任者の小菅英之にアプリの取り組みの経緯と成果について語り合っていただきました。聞き手は当社取締役の田口和弘がつとめました。

 


左から、小菅(CRAYON)、小出(東映)、湯口(東映)

 

アプリを通して熱量を積み上がる場所を作りたい

田口:まず、簡単な自己紹介とシン・仮面ライダーでアプリの取り組みを始めようと考えた経緯などを教えていただけますか。

小出:シン・仮面ライダーのプロデューサーとして、クリエイティブ面、ビジネス面の両面で、みまもったり、話をしたり、つないだりする役割でした。

湯口:私は宣伝プロデューサーを担当しました。それまでは直近ですと『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の宣伝を担当して、「仮面ライダー」シリーズでは「仮面ライダー 平成ジェネレーションズFOREVER」も小出さんと一緒に担当していました。

小出:シン・仮面ライダーは東映内でTVシリーズ放映から50周年を記念する企画として位置づけられました。庵野秀明監督を迎えて既存のTVシリーズとは異なる製作・クリエイティブに取り組むことになり、ビジネス側も今までとは違うアプローチで取り組んでみよう、というのがミッションでした。製作委員会にTVシリーズでお世話になっている会社さまにご参加いただくのに加えて、今回は、アカツキさんに入っていただいた縁もあり、アカツキさんとどういう取り組みができるんだろうか?と考え始めました。

小菅:CRAYONでは映像作品や音楽アーティストのファンクラブアプリを作るアプリ制作プラットフォームのサービスを運営していて、今回ご縁があって一緒に取り組ませていただきました。21年の2月ごろから定例を設けて、小出さん、湯口さん、田口と毎週話を詰めさせていただきましたね。

田口:映像作品のアプリ連動施策を、公開前から動かしていく事例はいままでほとんどなかったと思うんですが、社内でもネガティブな意見はなかったですか。

小出:東映的に言うと、東映特撮ファンクラブ(TTFC)という有料コミュニティがすでにあり、シン・仮面ライダーの公式TwitterやYouTubeアカウントもある中で、アプリをやることにどういう意味があるのか、どう意味付けをするのかが見えていなかったところがありました。
宣伝としては映画という「一度限りのお祭り」において、どうやってお客さんとの距離を詰めていけるか、という課題が共通認識としてありました。情報があふれ、どんどん流れていってしまう中で、熱量が高いお客さんが集まることができる場所を作れないかなとは考えていました。

湯口:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開に際して、「EVA-EXTRA」のアプリをカラーさんが立ち上げていたので、流れはいろいろと拝見していました。ただ、『エヴァ』の場合は権利を持っているのがカラーさん一社で、いろんなコンテンツを自由に作れる強みがありました。対して『シン・仮面ライダー』は”TVの「仮面ライダー」シリーズとは違う”という流れの作品ですし、TTFCとの兼ね合いもあるので過去の映像は使えない。加えて、事前に画像をどんどん出しまくっていくタイプの宣伝をするわけでもないので、ストレートにやってうまくいくんだろうか、何が作れるんだろうという不安はありました。

小出:僕はアプリ、ファンコミュニティをやったことがなかったので、コンテンツをどう作るのかが純粋にわからなかったのもありますね。

 

「SHOCKERアプリで行こう」と決めてすべてが動き出した

湯口:最初はシンプルに「シン・仮面ライダー公式アプリ」にしようという話だったんですが、コンセプト決めのときに小出が「SHOCKERにしたら面白いんじゃないか」とポロリと言ったんですよね。それで「SHOCKERになってしまえば、何かできるかもしれない!」と解像度がグッと上がって、今までの不安がなくなりました。

小出:アプリの企画が立ち上がったのは22年の3月だったんですが、4月1日にエイプリルフール企画として「シン・仮面ライダー」の公式SNSが全部SHOCKERに乗っ取られるっていう企画をやったんです。一時期フォロワーは減った瞬間はあったのですが(笑)、遊び心があって面白いね、と思ってくれる人たちにつながったなとは、あとから振り返って思いました。
僕はTVシリーズ『仮面ライダージオウ』のTwitter運用もしていましたが、そのときにファンの方との距離感というのを考えました。ファンの方達にラブコールを送りすぎると逆に向いてくれないし、でも公式すぎても距離が縮まらないし、どういう温度感がいいのかなと考えたときに、シンプルに「公式アプリです」ってやるよりは、ちょっとひねりが必要なんじゃないかなと思いました。

湯口:「SHOCKERで行く」と決まってからUIもわかりやすくなったし、コンテンツも考えやすくなりました。映画の中身に触れようとすると、制作陣に確認を取る必要があり、スピード感がなくなってしまうし手間も増える。SHOCKERにすることで、本編から独立したような形になって、割と自由にハンドリングにできたのは良かったですね。公式なんだけど、公式っぽくない立ち位置にできたのはスタート地点として非常に大きかった気はします。

小出:これって、僕らは作品に対する理解の積み上げ、熱量もあってのことだったんですが、これを受けて解像度も熱量も違うCRAYONさんは、どう受け止めたのかなと思って。僕らは作品側なので、ある主導権を持っているけど、そんな僕らと一緒にやるのって大変だったんじゃないかなと。

小菅:「SHOCKERでいきます」と言われた時は、「公式」のほうがわかりやすいし、対象が絞られてしまうのでは?という懸念はありました。ただ、こだわって作っていくということで、まず乗っかった、というところはありますね(笑)。結果、出してみたら「SHOCKER」という建付けがあったからこそいろんな機能やコンテンツも追加できたと思います。

田口:まず、シンプルに大型作品なので「どうしようかな」というのはありました。あと、サービス提供側の人間としてシステム的な保守はしていますが、中の運用にはいままでそこまで入り込んでなかったので、立ち上げのところから議論の場所にいられたのは面白かったです。大変でしたけど(笑)、楽しいが勝ってたなと思います。

小菅:プラットフォーマーとしてアプリを提供しているとなかなか入り込めず、線を引いて運用していたのがこれまででした。きっかけとして一緒にできたのは良かったです。

 

「シン・仮面ライダー」ファンを作り、熱量を高めるために

田口:「SHOCKERアプリでいく」と決めたあと、達成したい目的や目標は改めてどこに置いていましたか?

湯口:やっぱり、ファンコミュニティアプリとして濃いものにしたいというのがありました。アプリってまず、ダウンロードのひと手間があるので、愛を持ってくれている方も多いんじゃないかと。例えばアプリを入れてくれた方全員が映画を10回見てくれたら、すごい回数になるよねと。それぐらい濃いファンの方たちと一緒に雰囲気を醸成していきたいなというのがありました。
「仮面ライダー」というもともと大きなものではあるけれど、庵野秀明が作ることで新しくなっていく。庵野監督のファンもいる。2つの要素が合わさって「シン・仮面ライダー」のファンになっていくのかなと。最終的には映画を鑑賞してもらわないと意味がないので、いかに彼らに映画をトータルで、ロングスパンで好きになってもらえるか。公開後には何回も見たいと思ってもらえるか……コアになりそうな人の受け皿になり得るようにと。エヴァファンとか、他のところから入ってくるような人たちをどう捕まえるかはずっと考えてました。

小出:22年の5月に「シン・ウルトラマン」の公開があって、そこに予告編も入れることになっていたので、まずそこに合わせてアプリを公開しようと決めました。特撮ファンの皆さんだったり、仮面ライダーが好きな人たちの熱量をどうやって公開まで保ってもらうか、楽しんでもらうか。当初からそこの人たちに対してしっかり向き合いたいなというのはありました。
でも、2月ぐらいからお話させていただいて、5月に公開ってけっこう無理なスケジュールでしたよね?

田口:お互い無理なスケジュールだったと思います(笑)。

湯口:システムの方も大変だったと思うんですけど、我々も「そもそもスタート時に何を入れたらいいんだろう?」という感じでした。Twitterに上がっている画像が見られるだけでもいいんじゃないかとか。最初はそれぐらいで、とりあえず読み物だけは進めようということで、「SHOCKER通信」はアプリ立ち上げ当初から入れてました。とにかくそれだけですね。

小出:本当に、当時はまったく見えてなかった(笑)。毎週のように案出ししてました。

小菅:最初は本当に手探りでしたね。

田口:5月から8月はアップデートもそんなになく、所属する組織を選ぶぐらいでしたよね。

 

コアファン向けアプリ内ECもCRAYONが自社で構築

小出:振り返ってみると、「記念日をちゃんとおさえていこう」みたいなところはこの作品の宣伝を立ち上げた時からあったので、漠然と最初からハロウィンでなにかしたらいいんじゃないかな? と思ってました。それで、取り憑かれたようにハロウィン、ハロウィンって言ってた(笑)。

湯口:でも、ハロウィンがあったからエヴァンゲリオンコラボの案も出てきて、「ナギサ作戦」もできたと思います。『エヴァ』のキャラにSHOCKERのコスチュームを着てもらえないか?っていうね。

小出:あと、アプリの機能でいうとECは大きいと思っています。東映でも東映オンラインストアというECを持っていて、他にもすでにキャラクターに強いECサイトがある中で、CRAYONさんが「アプリのECも独自でやります」とおっしゃっていただきました。振り返ってみると、なかなか難しい判断をされたなと思いました。

小菅:大型作品に対してそれなりの責任も物量も求められるけどどうする?という話は社内でしましたけど、既存のパートナーさんと一緒にECを提供している実績も含めて、しっかりできるだろうと思って踏み込んだところはありました。結果的に施策に合わせてグッズを売ることにも挑戦できてよかったなとは思います。

小出:エヴァコラボグッズと、あとSHOCKER構成員のお面を販売することを前提にして、その際に、ECを他社さんにお願いするのかCRAYONさんでやるのかというところが出発点だったと思います。商材としてもCRAYONさんが触れたことがないものばかりだったと思うし、普通は見積もりを取って「これぐらいです」とするところを、「やります」と(笑)。すごい!と思いました。

田口:小出さんと初めてお話させていただいた時の僕らの提案は、ECの基盤だけ作って運用はおまかせしますという感じだったんですけど、「それだと受け入れられない」とおっしゃったので、「じゃあやるか!」と(笑)。基本的に「楽しそうだな」という理由がほとんどなんですけど、過去の事例でアプリを絡めながらグッズを販売して、数字が良くなった事例もあったので、手探りしながらでも失敗はしないだろうという目算もありました。ただ、万単位でのお面製作は各種施策や劇場連携等、大変でした(笑)。

小出:お面だけは今も在庫が残っていると聞きました(苦笑)。

※アプリ内ECのイメージ。自社企画グッズや他社ライセンスグッズなど、SHOCKERにまつわるグッズを広く展開。(構成員の方でまだお面をお持ちではない方、ぜひ覗いててみてください)

手探りで増やしていったコンテンツと施策

湯口:本当にリリースして9月ぐらいまでは所属組織選択と、あとHAPPYボタンぐらいかな?新しく実装したのは。SHOCKER通信は個人のつながりでとにかくほうぼうに連絡しまくったんですが、本当にいろんな方に出ていただいて形になって、ありがたかったですね。本音を言えばタイアップ周りをもっと攻められればよかったなというのと、所属組織選択で選んだ組織に応じてもうちょっと何かできればよかったかな、というのが少し心残りですね。ミニゲームとかできたら良かったんですけど、なかなか難しかったです。

小出:ミニゲームの延長がHAPPYボタンですよね。「幸せを感じた時に押していただく」ので、押すだけですけど(笑)。HAPPYボタンを押したら何か演出が起こればいいんじゃない? という話から、エヴァコラボの「ナギサ作戦」で、HAPPYの目標値を達成するとキャラの“変身”した姿が見られるようにすればいいんじゃない?という案も出てきたんですよね。
けっこうその都度その都度思いつきで僕や湯口がアイディアを言っちゃうんですけど、CRAYONさんはいい感じの、適当なコミュニケーションができたので、それも良かったです(笑)。

小菅:こちらも、小出さんと湯口さんの寛容さに助けられました(笑)。

湯口:結果的に「ナギサ作戦」はやってよかったと思います。みんな喜んでくれたし、何より「何だこの頭のおかしいアプリは」「狂ってる」みたいな感想ももらって、あれでわりとしっかりとアプリのキャラ付けができたと思いますね、今振り返ってみると。

小出:碇ゲンドウ、冬月コウゾウ、加持リョウジ、渚カヲルの4人をSHOCKERに招き入れるというコンセプトでしたけど、最後のカヲルくんはファンの方たちの熱量が見え始めたタイミングだったかなと思います。みんなロールプレイも楽しみながらやってくれているなと。

湯口:あとは10月ぐらいから、映画本体の施策とアプリをどう連動させていくかと本格的に動き始めましたね。シン・仮面ライダーチップスのカードをデジタル上でアルバム化できるデジタルカード図鑑は、どうしても僕がやりたくて。あとは複数回の鑑賞につなげるための鑑賞特典をつけるというのが、このアプリの役割として必要だと思っていました。

小出:デジタルカード図鑑は、アプリ的には開発が大変でしたか?

小菅:そうですね(笑)。あとはAppleの規約上、カード図鑑をアプリ内に組み込むとNGになる可能性があったので、ブラウザに飛ばす安全策を取ったりなど、いろいろありました。

湯口:映画の宣伝が活発化していく中で、「定期的なコンテンツをどう作るか」というのが僕らの課題でした。「1日1回開いてもらうにはどうしたらいいだろう」というところからHAPPYボタンがあって、SHOCKER通信を週刊化して、掲示板機能を作ってSHOCKERからの指令を出してみたりとか。
あとは、コミカライズのマンガが更新されたタイミングや、新しい情報が出た時は必ず発信しようと。通知が多すぎる時期もありましたが、とにかく定期的な接触を大事にしようねと話していました。その中でウェブラジオの案も生まれてきました。
アニメの宣伝ではウェブラジオの手法はよく取られるんですが、今回はフォーマットとして文化放送さんの「東映公認 鈴村健一と神谷浩史の仮面ラジレンジャー」のフォーマットをもらいました。番組のメインMCであり大の特撮ファンでもある声優の鈴村健一さん、神谷浩史さんに「広報構成員」になっていただき、公開前の2月下旬からアプリ内で「SHOCKER RADIO」を全10回配信しました。最終回には本郷猛役の池松壮亮さんにもご出演いただいて、すごく面白いものができました。

小出:こちらからいろんなアイディアやオーダーをお出ししましたが、正直、きつかった、という点などはありましたか。

小菅:公開日が決まっているものなので、そこに絶対合わせないといけないというのがまずありました。やはり公開日が近づくにつれてスケジュール的にしんどくなったんですけど、「こういう仕様であればできます」という提案をこちらから投げて、コミュニケーションを取りつつご納得いただけたのはありがたかったですね。

湯口:ゼロ回答、「できません」がなかったのはこちらとしても非常に感謝しています。

小出:技術と営業とありますが、小菅さんはどちらにも偏りすぎていないバランス感覚が非常にありがたかったですね。

小菅:もともとゲームの運用ディレクターをやっていたので、コードを書きながらプロモーションのことを考える、というのが癖になっているのはあると思います。

 

大好評だった「ネタバレ掲示板」、熱量をリアルに感じた鑑賞報告

田口:公開後の施策でいうと、「ネタバレ掲示板」がやっぱり特徴的だったと思うんですけど、オフィシャルでこれを設置することに反発はなかったですか?

湯口:まったくなかったです!むしろ、すごく歓迎して迎えられました。もともと掲示板は、ネタバレOKの場所を作りたいというところから始まっていたので、SHOCKERからの指令とかは正直、あとづけでした(笑)。毎回ネタバレって、いつから、どこで解禁なのかがセンシティブになってしまうので、見た人が全開放して好きに感想を言える場所を準備したいなと思っていました。それがアプリをダウンロードしてくれた方の有意義な体験にもつながると考えました。
「掲示板」という名前も、昔ながらの感じがしますがターゲットを考えると懐かしいけどちょうどいい感じなのかなと思って、気に入っています。

小出:あとは鑑賞報告ですよね。複数回鑑賞してくれた方に特典という形で、感謝の気持ちを伝えたいと考えてはいましたが、映画館で配布する特典もあるので、そことどうバランスを取ったらいいか、などを考えましたね。結果、10回以上鑑賞してくれた方を対象に、リアルイベントを開催しようとは決めました(「SHOCKER NIGHT」を5月20日に開催)。
イベントの応募に当たっては、興行って生のものだし、木戸銭をいただいてやっているので、そこの温度感を大事にしたいと考えて、リアルにこだわりました。手書きでご本人の情報を書いてもらい、実際に鑑賞した半券を貼って、送って応募してもらうという方法を取りました。


※実際に小出さん、湯口さんとともに手作業で応募用紙を確認していました。

田口:その話を聞いた時は、「デジタルで完結すればいいじゃん」ぐらいに思っていたんです。でも実際に応募されてきたものを見て、改めてファンの方の熱量に触れられたなと。これはデジタルだったらわからない感覚だったので、そこに出会えたのは運営者としてラッキーでしたね。

湯口:本当にその通りだと思います。どうしても興行収入とか数字で気にしてしまいますけど、実際に「こういう人たちに支えられているんだ」と改めて感じることができました。「SHOCKERへの一言が何かあれば」という欄を作ったんですけど、別に何も書かなくてもいいところに、ものすごく細かい字で書いてくださったり、絵を書いてくださったりしていて。デジタルがきっかけなのに、デジタルでは見えない部分が見えたなと感じられました。

田口:5回見て応募した人が数千人、10回が数百人ぐらいいたと思います。本当にすごいことだと思います。

 

ファンコミュニティを形成でき「やってよかった」

田口:改めて、この「SHOCKER」アプリの取り組みを振り返ってみていかがですか。

小出:やってよかったなと思います。アプリの形にする上で、小菅さん、田口さんとのコミュニケーションがうまくいったことがすべてだと思います。エンジニアやその他の方々にしっかりと説明してくれたんだろうなという安心感がありました。いいファンコミュニティになれたと思うし、次に生かせることがかなりあるだろうなと思います。

湯口:僕も本当にやれてよかったなと思います。週1回の定例に加えてSlackで密にコミュニケーションを取れたのもそうですし、開発チームがベースを整えてくれて、僕らでも簡単にコンテンツを投下できたのが良かったです。「今日はこの日だった!」と思いついたらスピード感を持ってぱっと上げられるのは、運用として非常にやりやすかったですね。
今回改めて、コミュニティ形成の大事さを感じました。映画ってどうしても季節産業的になってしまうんですが、今後シリーズ物やアニメにも展開していけたらいいなと思います。今回に関してはSHOCKERというキャラ付けがあったからこそできたと思ってますし、キャラ付けするとやりやすいし楽しいので、より深い没入感、密度の濃いやり取りが楽しめたと思います。

小菅:投稿のテイストも、SHOCKERという建付けがないとできないものでしたよね。主人公を「バッタ」とバカにしてましたし(笑)。CRAYONとしては、映画のアプリに初めて取り組ませてもらいましたが、必要なものを「必要だ」と言ってもらって、システム的にもいろいろな資産を作れた取り組みだったと思います。「もっとこうしたら活用できるのでは」という示唆も得られましたし、当社としてもありがたい取り組みでした。

湯口:もう少し、このアプリの宣伝ができたのではないかなという気持ちはあります。結果的に7万近くダウンロードされましたが、どうしても「アプリなんてあったんだ」という声が最後までありました。「シン・仮面ライダー」のファンを楽しませるという意味では成功でしたが、もっと外に出せたら良かったかなと。でも、なんだかんだ言って「シン・仮面ライダー」関連の打ち合わせの中で一番楽しい打ち合わせでした。好き勝手なこと言ってましたし(笑)。

田口:でも、公式Twitterのフォロワーが17万で、アプリDLが約7万なので、単純計算で40%のユーザーがDLしてくれたことになるので、これはすごい数字だと思います。30%以上は見たことないです。

小菅:SHOCKERアプリを見てくれて「うちもやりたい」というお話、すでに導入が決まったものもあるので、早速この取り組みが活きているなと感じました。今回は本当にありがとうございました!

 


【プロフィール】

小出大樹
東映株式会社
映画企画部 企画製作室
シン・仮面ライダー プロデューサー

湯口隆明
東映株式会社
映画宣伝部
シン・仮面ライダー 宣伝プロデューサー

小菅英之
株式会社CRAYON
代表取締役
事業責任者

田口和弘
株式会社CRAYON
取締役
アライアンス統括責任者